初めての相続手続き:発生から完了までの流れをやさしく解説

公開日:2025/12/24
流れ

家族や身内が亡くなると葬儀や身辺整理で忙しい日々が続きます。しかし、各種手続きには期限があり、早めの対応が欠かせません。本記事では、相続発生から1週間以内の手続きから、数年以内に必要な手続きまで、時期ごとに整理し、スムーズに進めるためのポイントをわかりやすく解説します。

相続発生から1〜2週間以内

被相続人(亡くなった方)が亡くなってから7~14日後までに行う必要がある手続きを紹介します。葬儀準備などであわただしい時期ですが、期限が短いものが多いため、可能な限り早めに対応しましょう。

死後すみやかに行うべき手続き

死後すみやかに行うべき手続きは、金融機関への連絡と公共料金などの名義変更・解約の2つです。被相続人が亡くなったことを銀行などの金融機関に連絡すると、口座の入出金が停止されます。

不正な引き出しや自動引き落としの継続を防ぐため、できる限り早く連絡しましょう。

また、被相続人名義の電気・ガス・水道・電話加入権などの契約は、解約しない限り名義変更が必要です。とくに、支払い口座が被相続人の口座の場合、その口座が凍結されるとライフラインがストップする恐れがありますので、早めに名義変更を行ってください。

7日以内

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出する必要があります。

提出先は、被相続人の死亡地、被相続人の本籍地、届出人の所在地のいずれかです。親族や同居人であれば誰でも提出できますが、提出時には、医師による死亡診断書または死体検案書が必要です。

また、火葬には市区町村発行の「火葬許可証」が必要で、通常は死亡届の提出と同時に申請します。葬儀会社が代行してくれる場合も多いです。

10日以内(厚生年金)・14日以内(国民年金)

被相続人が年金を受給していた場合「受給権者死亡届」を提出する必要があります。

期間は年金の種類によって異なり、厚生年金(共済年金)の場合は10日以内、国民年金の場合は14日以内になります。提出先は年金事務所または街角の年金相談センターです。

この届出が遅れると、受給権のない年金が振り込まれ続け、返還を求められる可能性があります。なお、マイナンバーが登録されている場合は届け出が省略できるケースもあります。

14日以内

国民健康保険は死亡により資格喪失となるため、死亡後14日以内に保険証を市区町村へ返却しなければなりません。職場の健康保険に加入していた場合は、事業主が手続きを行いますので指示に従ってください。

介護保険も死亡により資格喪失となるため、14日以内に市区町村へ資格喪失届を提出する必要があります。もし被相続人が世帯主だった場合は、死亡後14日以内に世帯主の変更届を市区町村に提出します。15歳以上であれば誰を世帯主にしても構いません。

相続発生から3〜4か月以内

相続発生から3〜4か月以内に対応すべき手続きは重要度が高いものが多いため、早めの着手が大切です。期限を過ぎてしまうと取り返しのつかないケースもあるため、早めの準備をおすすめします。

3か月以内

まず取り組むべきは、遺言書の有無の確認や相続人・相続財産の調査です。遺言書が残されている場合、その内容が遺産分割の基本となるため、自宅の遺品を探すほか、公証役場で遺言検索を行うことも検討しましょう。

また、遺産分割協議を円滑に進めるためには、参加すべき相続人を確定する必要があります。

戸籍資料をたどって漏れなく相続人を把握し、同時に預貯金、不動産、株式、負債などの相続財産をていねいに調べましょう。財産の漏れがあると、後に遺産分割がやり直しになる可能性もあります。

次に重要なのが、相続放棄の検討です。相続放棄は「相続の発生を知った時」から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければなりません(民法915条1項)。

相続財産の調査には時間を要するうえ、相続放棄の申述に必要な戸籍の収集にも予想以上の時間がかかることがあります。とくに被相続人に借金がある可能性がある場合は、早めに検討を進めることが重要です。

なお、相続放棄をすると負債を相続せずに済む一方で、預貯金などのプラスの財産も受け取れなくなるため、慎重に判断しましょう。

4か月以内

相続発生から4か月以内には、被相続人の所得税の「準確定申告」を行う必要があります(所得税法125条)。これは、被相続人が死亡した年に得ていた給与・年金・不動産収入・配当などの所得を申告する手続きです。

必要書類の整理や申告書作成は大変な作業であるため、税理士に相談しながら進めると安心です。

相続発生から10か月〜1年以内

相続発生から10か月〜1年後にかけて対応すべき手続きは、時間的余裕があるように見えますが、いずれも内容が複雑で、早めに動かなければ期限に間に合わなくなることもあるため注意が必要です。

10か月以内

まず、遺産分割は可能であれば相続発生から10か月以内に完了しておくことが望ましいとされています。遺産分割に期限はありませんが、相続税申告の際、遺産分割が済んでいれば申告を1回で済ませられるためです。

また、遺産分割が早期にまとまれば、財産の共有状態を早く解消でき、有効活用にもつながります。遺言書がある場合は原則その内容に従い、遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行います。

ただし、ひとりでも反対する相続人がいれば協議は成立しないため、早めに話し合いの場を設けることが大切です。合意できた内容は「遺産分割協議書」にまとめておきましょう。名義変更など、さまざまな手続きで必要となります。

次に、相続税申告と納税は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内が期限です。相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合や、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」など特例を使う場合には、必ず申告が必要となります。

評価方法が複雑な財産がある場合はとくに、早めに税理士へ相談しましょう。

1年以内

最後に、遺留分侵害額請求の期限にも注意が必要です。遺留分を侵害された相続人は、相続の開始と侵害を知ってから1年以内に金銭の支払いを請求しなければ、権利が時効で消滅します。

内容証明の送付や調停申立てで時効を止めることも可能なため、早めに弁護士へ相談することが重要です。これらの手続きを計画的に進めることで、相続にともなうトラブルを防ぎ、円滑な手続きにつなげることができます。

相続発生から2〜5年以内

被相続人が亡くなった後、相続に関する手続きは時間が経過しても重要です。猶予がある分、手続きを忘れやすいので注意しましょう。

2年以内

まず、亡くなってから2年以内には、葬祭費や埋葬料、高額医療費の申請が挙げられます。

国民健康保険加入者であれば3~7万円の葬祭費、協会けんぽなど加入者であれば一律5万円の埋葬料が支給され、被相続人の医療費が所得に応じた上限を超えた場合には高額医療費の請求も可能です。時間が経つと請求を忘れやすいため、早めに手続きを済ませることが大切です。

3年以内

次に、相続財産に不動産が含まれる場合、相続登記は被相続人の死亡を知った日から3年以内に行う必要があります。登記を怠ると10万円以下の過料が科されることがありますが、他の相続人と連絡が取れない場合には「相続人申告登記」を利用して一時的に罰則を免れることも可能です。

ただし、正式な所有権移転登記を行うまでは第三者への対抗力は生じませんので注意が必要です。また、生命保険の死亡保険金請求権は、死亡から3年で時効が成立しますので、受取人は早めに請求してください。

5年以内

さらに、遺族年金や未支給年金の受給は、死亡から5年以内に申請する必要があります。被相続人によって生計を維持されていた遺族であれば受給できる可能性がありますので、要件を確認のうえ、漏れなく請求しましょう。

まとめ

家族が亡くなると葬儀や身辺整理であわただしくなる一方、各種手続きには期限があります。死亡届や年金・健康保険の手続きは2週間以内、遺言書確認や相続放棄は3〜4か月以内、所得税の準確定申告も4か月以内に行います。遺産分割や相続税申告は10か月以内、遺留分請求は1年以内に対応が必要です。さらに、不動産の相続登記は3年以内、遺族年金や未支給年金は5年以内に申請が求められます。それぞれの手続きの期限をきちんと把握し、計画的に進めることが重要です。

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